治験について(一般の皆様へ)
- 『治験』とは
- 治験に関する法律=GCP省令とは?
- 「ヘルシンキ宣言」とは?
- 『新薬』ができるまで
- 『治験』で使われる薬は安全?
- 治験を行う医療機関とは?
- 治験審査委員会(IRB)とは?
- インフォームド・コンセントとは?
- プライバシーの保護
- 治験のメリット&デメリット
- 検査結果
- 治験による健康被害が生じた場合
- 治験に関する費用
『治験』とは
『治験』とは、製薬会社が製造した『新薬』が厚生労働省に承認されるために健康な方や患者の方にご協力いただき、効果や安全性を調べる試験のことを言います。
「くすり」によってたくさんの病気を治療することができるようになりました。
しかし、「くすり」が無いために、未だに治療できない病気もあります。
それらの病気を治療するために「くすり」の開発は必要となります。
また、「くすり」には「諸刃の剣」と言って、効果がある反面、副作用も伴います。
今ある「くすり」よりも、もっと治療効果が高く、逆に副作用が少ない「くすり」の開発も必要となります。
「くすり」が開発され、治療に使われるまでに、多くの試験が必要となります。
「治験」もそれらの試験のひとつです。
治験に関する法律=GCP省令とは?
治験は、「薬事法」という国が定めた法律に基づき、GCP(Good Clinical Practice)省令※と言われる「医薬品の臨床試験の実施基準」に従って行われます。
※GCP省令(以下、GCPという)
GCPは、治験の実施に当たり、当該治験が科学的にみて妥当な計画に基づくもので被験者(患者さま)の人権について充分な配慮と安全性を確保する目的ための大切な基準となります。
GCPは1964年の世界医師総会で出された「ヘルシンキ宣言」に基づいて作られ、日本では、1990年10月から実施されています。
1997年4月に、この基準がより厳密になり、新GCPとして運用、一部改正を行いつつ現在に至っています。
新薬を開発する製薬会社も治験を受託し実施する医療機関もすべて、このGCPを遵守することが義務付けられています。
GCPの主な内容
- 治験の内容を国に届け出ること。
- 「治験審査委員会(IRB)」において治験の妥当性をあらかじめ審議し治験の実施の可否を決定すること。
- 治験についてきちんと説明をし、患者さまの自由意思のもと同意説明文書への署名・捺印をもって治験に参加させること。
- 重大な副作用が起こったときは、すみやかに国に報告すること。
- 製薬会社は治験が適正におこなわれているかを確認すること。
GCPに沿った治験を行うことは、被験者(患者さま)の人権や安全を最優先で守るだけでなく、治験の質と信頼性の高いデータを確保することになります。
「ヘルシンキ宣言」とは?
1964年6月、フィンランドのヘルシンキで開催された第18回世界医師総会(WMA:World Medical Association)で患者への安全性や倫理的な配慮に重点がおかれた「ヒトを対象とする医生物学的研究に携わる医師に対する勧告」が採択されました。
「被験者(患者)の利益を科学や社会に対する寄与よりも優先すべき」という、被験者(患者)の立場にたった原則を明確にし「ヘルシンキ宣言」と定められました。
GCPはこのヘルシンキ宣言が基礎となって制定されました。
『新薬』ができるまで
・・・『新薬』が『くすり』として承認されるまで、承認後
| 【基礎試験】 | ||
| 新規物質の探求・創製、物理化学的研究
研究室での実験を通して、たくさんの新規化合物のなかから「くすり」となる可能性のある化合物(いわゆる「新薬」)を探します。 |
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| 【非臨床試験 < 動物 >】 | ||
| 薬理作用試験、毒性試験、薬物動態試験
動物を使って、「新薬」となる化合物の効果と安全性を調べます。 |
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| 【臨床試験 < ヒト >】 = 『治験』 | ||
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●第Ⅰ相試験
少数の健康な方を対象に「新薬」の安全性や体内動態(吸収・分布・代謝・排泄)などを調べます。 |
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●第Ⅱ相試験
少数の患者さまを対象に、「新薬」の安全性と有効性を調べ、治療に適した用法・用量を決めます。 |
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●第Ⅲ相試験
多くの患者さまを対象に、既存の「くすり」やプラセボ(偽薬)※と比較し、「新薬」の安全性と有効性を調べます。 |
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※プラセボ(偽薬)
同じ作用を示す薬が無い場合、有効成分の入っていない「プラセボ」と言われる「偽薬」を比較して、効果や副作用の判断をおこなっていくことが必要となります。病気を悪化させる場合は使用中止となります。 |
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| 治験により有効性と安全性が確認できたら | ||
| ★製薬会社は厚生労働省に「新薬」として承認申請 | ||
| ★厚生労働省の中央薬事審議会による承認審査 | ||
| ★『新薬』が『くすり』として承認 | ||
| ★医薬品の製造・販売 | ||
| ★医薬品の市販後調査※(PMS: Post Marketing Surveilance) | ||
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治験のとき以上に、多くの患者さまに使用されることにより、開発・治験段階では発見できなかった副作用や有効性のデータを集め、「くすり」の適正使用に役立たせます。 ※承認までの期間が短かく、追跡調査として市販後に集められるデータが必要と判断される場合は、「市販直後調査」として調査が義務付けられます。 |
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| 〔1〕副作用・感染症報告
医薬品の副作用や感染症に関する報告 |
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| 〔2〕使用成績調査
医薬品の品質、有効性・安全性に関する事項、その他医薬品の適正使用のために必要な情報収集を目的とした調査 |
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| 〔3〕特別調査
特別な背景をもった対照群(小児、高齢者、妊産婦、肝臓・腎臓障害を有する患者)における有効性・安全性の確認をおこなうための調査。 |
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| 〔4〕医薬品製造販売後臨床試験 = 第Ⅳ相臨床試験
第Ⅲ相臨床試験までに得られなかった有効性・安全性・有用性に関する情報を集めるためにおこなう試験です。 |
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『治験』で使われる薬は安全?
治験に使われる薬は事前に十分に安全性を調べたものを使用します。
第Ⅲ相試験では、第Ⅱ相試験において薬の有効性・安全性が確認され第Ⅲ相試験に移ることが許可された薬を使用します。
※医誠会病院およびホロニクスグループ他病院では、第Ⅲ相試験および医薬品製造販売後臨床試験(第Ⅳ相試験)の治験だけを受託しております。
治験は十分な設備や医療スタッフが整った医療機関で行われ、専門の臨床経験の豊富な医師が治験責任医師となります。
患者さまが参加しようと思われる治験については、治験に使われる薬の情報(有効性・安全性・有用性)はもちろんのこと、治験に関する情報が全て開示されます。
治験に参加するかどうかは、患者さま自らが自由に決めることができます。
また、治験への参加に同意された後や治験中でも患者さま自らが自由に治験の中止を申し出ることができます。
このように、患者さまの自由意思により治験への参加・不参加ができるのも、全ての治験がGCPという法律に基づいて運用されており、この法律によって患者さまの人権が守られているからです。
また、この法律は治験が安全にかつ適正におこなわれているかをチェックする基準でもあるため、この基準をクリアし、第Ⅱ相試験での健康人を対象とした安全性が十分確かめられ厚生労働省の許可を得た薬でなければ第Ⅲ相試験(多くの患者さまを対象とした治験)に移ることができません。
治験を行う医療機関とは?
十分な検査を行う設備をもち、専門の臨床経験の豊富な医師をはじめとし、看護師・薬剤師などの医療スタッフが揃っており、緊急時には直ちに適切な処置がとれる医療機関が治験実施病院となることができます。
治験審査委員会(IRB: Institutional Reviw Board )とは?
製薬会社は治験支援会社(いわゆる、SMO)を仲介して医療機関に治験を依頼します。
治験の依頼を受けた医療機関は、院内に設置されている治験審査委員会(IRB)を通して、製薬会社が作成した治験実施計画書の内容について、治験に参加される患者さまの人権と安全性が守られているかを審議します。
特に、社会的弱者を被験者とする治験の場合は注意を払う必要があります。
審議の結果、治験依頼を受託するかどうかが決まります。
治験が実施されたあとも、治験が終了するまでは定期的にIRBが開催され、治験がGCPに従って実施されているかどうか、治験を継続して実施するかどうかが審議されます。
IRBの委員には、治験を実施する医療機関と利害関係のない委員が選ばれます。
インフォームド・コンセントとは?
インフォームド・コンセントとは、患者さまが治療を受けるに当たり、「現在かかっている病気のことや治療方針について充分な説明を受け、患者さま自身が理解し納得されたうえで同意する」ということです。
治験はGCPを遵守することが義務付けられていますので、治験を行う医師は治験を開始する前に治験に参加される患者さまに対して治験の目的や内容を説明文書を用いてきちんと説明しなければなりません。
患者さまも、医師からの説明を理解し納得したうえで治験に参加することを自ら同意し承諾することとなっています。
医師が説明したこと、患者さま(又は代諾者)が同意し承諾したことは、同意説明文書として残されます。
プライバシーの保護
患者さまのご理解とご協力なくして、医薬品の開発・治験はあり得ません。
治験を通して得られるデータは厚生労働省に提出され、新薬として承認を受けるための審査資料として使われますが、GCPにおいて患者さま個人に関する情報を守り、外部及び第三者に漏洩しないように管理しなければならないことが厳しく定められています。
治験のメリット&デメリット
メリット
- 新しい治療をうけるチャンスがあります。
- 治験に参加することにより、医学の発展に貢献できます。
- 同じ病気をもっておられる患者さまへ新薬を一日でも早くとどけることができます。
- 次世代の人たちへ新薬を贈ることができます。
デメリット
- 治験は新薬の有効性と安全性を確認するための臨床試験ですので、国から許可された計画(スケジュール)に沿って進みます。
そのため、治験の診察や検査、服薬(使用)確認を定期的に行う必要があり、患者さまには普段よりも多く来院していただくことがあります。 - 治験は通常よりも丁寧な診察や検査、治験コーディネーターによる詳しい説明が必要となりますので、時間が長くかかることがあります。
- 治験によっては、患者さまに日記や記録をつけていただくことがあります。
- 有効性を正しく評価するために、現在服用している薬を一時中断していただくことがあります。
(医師の診断のもと、治験により病気を悪化させるような場合はご参加をお断りしております。)
検査結果
検査結果は、患者さまが参加した治験の責任医師もしくは分担医師より説明を受けることができます。診察の際、お尋ねください。
治験による健康被害が生じた場合
治験は診察や検査によって安全性を第一に進められます。
もし、何らかの異常が現れた場合には、すぐに受診してください。
治験による健康被害が明らかになった場合、健康被害の程度と期間に応じた補償が治験依頼者である製薬会社から受けることができます。
治験に関する費用
治験薬の有効性・安全性を確認するために、普段より多く来院していただき診察や検査、薬の服用(使用)状況等を確認させていただきますので、来院回数の増加に伴う患者さまの負担を軽減するための費用が支払われます。
また、治験期間中(治験薬を使用している期間)、治験薬はもちろんのこと、治験で必要な検査費用は治験依頼者である製薬会社が負担いたします。
そのため、治験期間中の医療費負担が普段よりも少なくなることがあります。













