当院では平成21年度に日本内科学会認定教育関連施設の認定を受けました。
救急を含めたプライマリケアも十分にこなせ、トリアージもできる実践的な総合内科医の育成を目的に総合内科後期研修プログラムを組んでいます。この目的を達成するために、複数の専門内科をいくつか組み合わせてローテートし最後に総合内科の指導を受ける、と言う3年間の充実した研修プログラムです。
内科は専門化する一方で改めて総合内科の役割が重視され、将来的には病院全体の診療をマネジメントする役割をもはたすものと考えられます。現在の専門医の単独コースでは「木をみて森をみず」になりがちです。狭い領域に自分の知識や能力が限られると専門性は高まりますが、臨床能力が偏り幅広く病態を見渡す事ができないばかりか、疾患の背景が見えないため専門領域ですら誤診を招きかねません。また、かなりの割合で気管挿管や中心静脈カテーテル挿入など臨床的な基本手技すらできない医師が存在します。
こういった状況では、大病院などでは先輩医師の助けを請うことが可能ですが、一人での対応が必要な民間病院での普段の診療や夜間当直に常に不安がつきまとい、そして将来に家庭医としては働けない医師になってしまいます。
このような状況にならないよう、実践的なトレーニングを受けることを主眼にプログラムが組まれています。
原則として3年間
医療機関には、1・2次救急や一般外来に患者さん自身が消化器科を受診したい、循環器内科を受診したいなどと言って来院されるとは限りません。なんらかの主訴により来院されますが、どの科にかかるかは直接決めているわけではありません。また高齢化も進み、日常生活でサポートが必要な患者も多く、核家族化、医療費の問題など様々な問題点をもつ患者さんが増加しています。そういった患者さんを総合的にとらえ、かつ的確な確定診断を施し、またある程度のものは自分で専門医にたよらずに治療を責任をもって完結できる能力を獲得することを主眼に、研修ローテートを組みます。
総合内科と専門医がスムーズに治療に携わるには、少なくともカテーテル操作や内視鏡などの技術以外は同等の診断能力と患者管理能力が必要です。また内科だけではなく、外科的知識も要求され、外科治療が妥当かどうかの判断も時に必要になります。チーム医療は、総合内科医や専門内科医、また外科系医師と一般的知識に関して同等にもち、責任も同時にもってはじめて成り立ちます。また看護師はじめコメディカルをどうまとめるかも重要な役目になります。専門医や外科系医師は処置や手技、それに対する患者さんへの説明などで時間がとられ、まとめ役が参加できないことも少なくありません。そういった問題が発生した場合に、適切に対応する役割を担うことも研修に含まれます。
総合内科の役割には、日常診療のみならず、医療安全、感染症コントロール、NST、なども含まれます。これらの院内ラウンドも行える能力を身につけることも重要です。
総合内科 | 森田 龍平(日本内科学会認定医、日本老年医学会指導医・専門医) |
---|---|
消化器内科 | 福知 工(日本消化器病学会専門医・評議員、日本消化器内視鏡学会専門医ほか) |
脳神経外科 | 松本 勝美(日本脳卒中学会専門医、日本脳神経外科学会専門医、日本脳神経血管内治療学会専門医、日本脳卒中学会代議員) |
糖尿病内科 | 増田 浩史(日本糖尿病学会研修指導医・専門医、日本内分泌学会内分泌代謝科指導医・専門医 ほか) |
腎臓内科 | 中尾 尚之 |
救急診療科 | 細原 勝士(日本救急学医会専門医、日本麻酔科学会認定医) |
※ 選択:救急部・消化器内科・呼吸器内科・脳卒中内科・糖尿病内科・腎臓内科・総合内科より選択する。
内科系診療科をローテートにより、全科的な知識・技術を身に付けることができます。救急部を組み入れており気管挿管、心肺蘇生などにも対応できます。途中で内科系以外の診療科(消化器外科、形成外科、心臓外科、脳神経外科、麻酔科など)のローテートに関しては希望に応じて相談致します。4ヶ月ごとのローテートは適時延長が可能です。各科の到達目標は各科でのプログラムに準じます。
ローテートの途中でその専門科に研修を変更することも可能です。