肺がんトークQ&A Vol.2 肺がんと予防 篇

「肺がん」の死亡率が高いというのは本当ですか?
がんによる死亡率は年々増加の一途をたどっています。
厚生労働省の発表によると、2008年のがんによる死亡者は342,963人で、前年2007年の336,468人よりも6,495人増加しています。2009年も344,105人と、引き続き増加しています。
例年がんによる死亡率は、全死亡者の約30%に該当します。
その中でも、2009年の肺がんの死亡者は67,583人で、部位別がん死亡者数の中で前年に引き続き第1位です。
1960年頃の肺がん死亡者が5,000人程度だったことを考えると、この50年間で13倍にもなっています。
「肺がん」が治りにくいというのは本当ですか?
「肺がん」は、がんの中でも難しい「難治がん」と言われます。肺がんは、自覚症状に乏しく、他のがんと比べても進行が早く、転移もしやすいという特徴があります。肺にはたくさんの血液が流れ込んでおり、その流れに乗ってがん細胞も全身に広がりやすいためです。
「肺がん」の死亡者の急激な増加の原因は何ですか?
「大気汚染」や「職業汚染」など、様々な原因が考えられますが、やはり「たばこの普及」が、大きな原因のひとつだと考えられます。1950年頃は年間販売本数が約500億本だったのが、2008年には2,458億本と、約5倍に増加しています。(㈱日本たばこ協会ーたばこに関するデーター より)
最近は、たばこの害についての認識も高まり、禁煙に対する取り組みがクローズアップされています。
「肺がん」は遺伝するというのは本当ですか?
現時点では、肺がんと遺伝子については研究段階で、明確な結論は出ていません。ただ、大腸がんなど、遺伝の可能性が認められているがんもあります。また、統計から見ると家族に肺がんの発症歴がある人は、そうでない人に比べて3倍の発症率があり、肺がんも遺伝子と何らかの関係があるのではないかとも言われています。ただし、肺がんに関しては肺がん遺伝子の関与というより、がん遺伝子的素因そのものとの関連が深いと見られています。
「罹患率」とはどういう意味ですか?
「罹患(りかん)」とは、「病気にかかること」という意味です。つまり、がんの「罹患率」とは、ある集団が一定の期間でがんになる割合のことです。(すでにがんになっている人は含まれません。)
がんを予防するにはどうしたらいいですか?
がんの予防には、 3つの段階があります。
- 1次予防→がんにならないようにする生活習慣
- 2次予防→早期発見・早期治療による早めの対応
- 3次予防→再発や転移を防ぐための治療
この中で、自分自身の取り組みで出来るのは1次予防と2次予防です。生活習慣に注意し、定期的な検査や健康診断を行いましょう。
「1次予防→がんにならないようにする生活習慣」とは、どのようなものがありますか?
まず第一に「禁煙」です。たばこを吸う人は、吸わない人よりも、約5倍の確率で肺がんになりやすいといわれています。さらに、たばこは、食道がんや口腔がん、咽頭がん、喉頭がんなど、他のがんの発生確率を高めます。その他、副流煙による二次被害なども含め、百害あって一利なしです。
その他に「1次予防→がんにならないようにする生活習慣」とは、どのようなものがありますか?
「規則正しい生活」「暴飲暴食をしない」「適度な運動」「がんの予防につながる栄養素の摂取」などがあります。
栄養素として、一般的に「ベータカロテン(ビタミンA)」「ビタミンC」「ビタミンE」などが、がん予防に効果的だとされています。
「ベータカロテン(ビタミンA)」
ベータカロテンは植物色素に含まれていて、体内でビタミンAに分解されます。ただ、過剰な摂取は逆効果ですので気をつけましょう。
ベータカロテン(ビタミンA)を多く含む食べ物
小松菜、にんじん、かぼちゃ、ほうれん草、にら、春菊、マンゴーなど
「ビタミンC」
胃中でたんぱく質と亜硝酸が反応することによって「ニトロソアミン」という発がん性のある物質が発生します。ビタミンCには亜硝酸を硝酸に変える働きがあるため、ニトロソアミンの発生を抑制します。
ビタミンCを多く含む食べ物
オレンジ、いちご、グァバ、パイナップル、グレープフルーツ、キウイ、柿、ほうれん草、小松菜など
「ビタミンE」
植物性脂肪に多く含まれます。ベータカロテン同様、酸化反応抑制の働きがあります。
ビタミンEを多く含む食べ物
アーモンド、うなぎ、たらこ、落花生、かぼちゃ、モロヘイヤ、菜の花、アボガドなど
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