診療放射線部
診療放射線技師の取り組み
診療放射線技師31名でCT、MRI、マンモグラフィ、血管造影などの検査から放射線治療、血管内治療などの治療までの幅広い領域で活動しています。
各種認定資格などを取得し、先進的で高度・良質な医療の提供の為に技術と知識の向上に努めています。
- 被曝線量の軽減に努めます
当院ではCR/FPDを導入しており、被曝線量低減に努めております。CTでも被曝低減ソフトを積極的に使用し、撮影条件の見直しも行っております。 - 安全管理と精度管理に努めます
医療機器のメンテナンス及び精度管理は担当操作する診療放射線技師の重要な業務です。日々の整備・点検では患者さんの安全確保を第一に念頭に置き対応しております。 - 検査の効率化に努めます
当院では、「電子カルテ」及び「PACS」を導入しております。より一層の効率化を図り、待たさない医療を目指します。
主な装置一覧
一般撮影 | UD150B-40 2台 (島津) UD150B-30 (島津) |
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X線TV(FPD) | SONIALVISION G4 (島津) Cvision Plus (島津) |
乳房撮影装置(FPD) | MAMMOMAT Inspiration (SIEMENS) |
CT | 64列 デュアルエナジーCT (Discovery 750HD) (GE) 64列CT(Optima 660Pro Advance) (GE) |
MRI | 3.0T MRI(MAGNETOM skyra) (SIEMENS) 1.5T MRI(SIGNA HDX) (GE) |
血管撮影装置(FPD) | BRANSIST safire (島津) Innova IGS630 (GE) |
放射線治療装置 | Vital Beam (Varian) |
結石破砕装置 | ドルニエデルタⅡ |
PET-CT | Discovery ST Elite (GE) |
骨密度測定装置 | ALPHYS LF(日立) DCS-600EXV (日立アロカ) |
一般撮影
一般撮影は胸や骨のX線撮影を行い、撮影部位や目的により胸部撮影・外科整形外科(骨)撮影・泌尿器撮影など診断価値の高い画像提供を行っています。
一般撮影系はCR/FPDを使用し、全面デジタル化が実現されています。
CRとはX線写真を作成するシステムで、デジタル化された写真は、適した コントラストと濃度に処理されます。
一般Ⅹ線写真は骨折・骨病変の診断にもっとも有効な検査方法のひとつで、骨撮影では腰痛などの痛みの原因・骨折や脱臼などの有無を調べます。
*ボタンや金属、着衣によるシワの重なりによって写真上で影となって写るために、診断の際に誤診を招く恐れがあります。検査目的によって担当技師が「息を吸って止めてください」または「息を吸って吐いて止めてください」と合図致します。
乳房撮影装置 マンモグラフィ
近年、食生活などの変化の影響で12人に1人が乳がんにかかると言われています。乳房撮影装置は乳房専用の装置で、乳房をはさんで薄くのばし、緻密な構造(乳腺・石灰化・腫瘤など)を描出するために非常に有用です。早い段階で約90%治癒される乳がんにとって、マンモグラフィ撮影は必須項目で、早期発見は女性にとって精神的苦痛とも言える「乳房全摘術」を行わず「乳房温存療法」が可能となります。
検査内容
プラスチックの板を用いて、左右の乳房を上下と斜め方向から広く薄く広範囲に延ばすために圧迫します。圧迫することにより被曝線量は少なくなり、動きによるボケも防止することができます。個人差もありますが、1回の撮影に対して5秒から10秒ほどの痛みを伴うことがあります。検査の所要時間は10分から15分程度です。
注意点
ペースメーカーを入れている方は、撮影の際、強く圧迫致しますので、破損や故障の恐れがあります。また豊胸手術をされている方は、パックなどが破裂する恐れがあります。
必要のない痛みや不要な被曝を避けるためにも、必ず撮影前に担当技師にご報告下さい。
しこり
痛みのあるもの、ないもの、硬いもの、軟らかいものなど、いろいろな種類がありますが、しこりがあっても乳がんであるケースは1割くらいで、約9割は乳腺症などの良性疾患といわれています。
専門医でも発見することが難しく、超音波検査(エコー)など他の検査も併せて行う必要があります。
乳腺とは別の感触を発見したら、すぐに病院へ行きましょう。
石灰化
組織内におけるカルシウムの沈着。
乳房の石灰化は、乳房Ⅹ線像で確認できますが触診では発見できません。カルシウムはレントゲン写真で白く写り乳腺、脂肪、筋肉などに比べて目立ちます。
自覚症状はありません。
*マンモグラフィ検診精度管理中央委員会にてA評価の施設評価を受けております
*マンモグラフィ検診精度管理中央委員会の認める撮影装置使用
*当施設にはマンモグラフィ認定医師・認定技師が在職しており、女性技師による撮影によって細かな部分をきちんと撮影された写真を、経験豊富な医師にて早期発見いたします。
CT撮影
CT装置とは、X線を用いて体の輪切り(横断像)を撮影する装置です。
さらに、コンピュータで計算処理し薄く撮影された横断像を用いて、立体的な三次元(3D)画像が作成できます。
それらの画像が病気の診断や治療に使われます。
※当院では国内において先立ってマルチスライスCTを導入しており、使用経験より従来から検査時間の短縮や被曝量の低減という患者さんへの負担の軽減が大きな利点となっています。
使用装置
検査内容
CT検査は大きく分けると2種類で、単純CT検査と造影CT検査に分けられます。
単純CT検査のみの場合、着替えを含めて検査時間は10分以内です。
造影CT検査は腕の静脈から造影剤を注射して行います。
必要に応じて造影剤を使うことによって、体の中をより詳しく調べる事ができます。
造影CT検査の場合、着替えを含めて検査時間は約20分です。
頭部
単純CT検査のみなら検査台に寝て頂くだけです。
さらに造影剤を使うことによって、血管の走行や狭窄・動脈瘤、腫瘍などを詳しく調べる事ができます。
胸部・腹部
単純CT検査では検査台に寝て頂き、息を2回止めて頂きます。息止め時間は約5~20秒です。
さらに造影剤を使うことによって、腫瘍や血管の走行・動脈瘤などを詳しく調べる事ができます。
四肢・脊椎
単純CT検査のみなら検査台に寝て頂くだけです。
さらに造影剤を使うことによって、四肢の血管の走行・狭窄などを詳しく調べる事ができます。
心臓
単純CT検査では検査台に寝て頂き、専用の心電図波形を用いて撮影します。
さらに造影剤を使うことによって、心臓の血管(冠動脈)の走行・狭窄などを詳しく調べる事ができます。
CT画像
MRI
MRIとはMagnetic Resonance Imagingの略で磁気共鳴映像法といいます。強力な磁石とラジオ波を用いて体内の状態を検査しています。検査中に大きな音がします。MRI検査では任意の断面で画像を表示する事が出来ます。CT検査などで用いられる造影剤を使用せずに血管を描出することも可能です。放射線を使用していませんので被曝の心配はありません。強力な磁石を使用している為、心臓ペースメーカーを入れている方は検査出来ません。体内に金属がある方も検査出来ない場合がありますので医師、検査担当技師にご確認してください。
MRI画像
血管造影検査
血管造影検査とは、頭頸部や腹部、心臓の血管の状態を確認する為の検査です。
医療用の細長いチューブ(カテーテル)を動脈や静脈から挿入して、造影剤で血管の走行を確認しながら、目的部位の血管の状態を評価し必要に応じて治療します。当院では、緊急時24時間検査できるよう対応しています。
使用装置
検査内容
頭頸部血管造影検査
動脈にカテーテルを挿入し頭や頸部の血管(頸動脈や椎骨動脈)まで進め、デジタルサブトラクション撮影(画像上にて骨を除去し、血管のみ表示)や血管の3Dを撮影し評価します。
くも膜下出血の原因となる脳動脈瘤・動静脈奇形・脳腫瘍の評価や急性期脳梗塞の血栓溶解療法や脳動脈瘤のコイル塞栓療法も行っています。
また、カテーテルを使用せずに造影剤を急速注入し頭頸部の血管を評価する撮影もしています。
上の画像はデジタルサブトラクション撮影(骨を除去し、血管のみ表示)
上の画像の左は3D画像、右はライブ画像(骨つき表示)
腹部血管造影検査
カテーテルを腹部の目的血管まで挿入し、腫瘍を栄養している血管の形状や流れを評価します。腫瘍部の血管に医療用のゼラチンを使用し腫瘍血管を塞栓する治療、動脈にさらに細いマイクロカテーテルを留置して、腫瘍の栄養血管から直接抗がん剤を注入する治療をしています。また、腹部の出血(消化管出血や動脈損傷)に対して血管内から直接止血する治療も行っています。
心臓血管造影検査
心臓の血管造影検査では、心臓を栄養している血管(冠動脈)に狭窄や閉塞がないかを評価し、また酸素濃度、血流量、圧などを測定し心臓が正常に働いているか判断します。冠動脈に閉塞や狭窄があり心臓に血液が正常に送れていない場合は、バルーン拡張やステント留置、ロータブレータを使用し心臓に血液が送れるように治療します。
急性心筋梗塞など迅速な治療が必要な場合に備え24時間対応しております。
不整脈の治療に対しては、ペースメーカー移植術やICD・CRT-D移植術、カテーテルアブレーション、感染におけるペースメーカーリード抜去などを行っています。
四肢末梢血管造影検査
上肢の血管造影
人工透析用シャントが狭窄または閉塞した場合は、シャント部から正常に人工透析ができなくなってしまいます。そのような時はシャント血管の狭窄部や閉塞部を撮影し、必要に応じてバルーンで細くなった血管を拡張させ、シャントから人工透析ができるように治療します。
下肢の血管造影
血管にカテーテルを挿入し血液の流れを確認します。
下肢の血管に狭窄や閉塞がある場合は、バルーンやステントを使用して治療します。
体外衝撃波結石破砕術法(ESWL)
結石破砕装置で発生させた衝撃波を体外から体内の結石に加えることによって、結石を細かく粉砕する事を目的とした治療法です。
細かく砕かれた結石は、尿とともに体外に排出されます。
この治療では、開腹手術をすることなく、結石を体外に排出する事を目的としますが結石の質や場所により破砕出来ない場合もまれにあります。
当院では主に腎臓・尿管の結石が治療の対象となります。
治療中(衝撃波を受けている間)は多少の痛みを伴いますが、鎮痛剤を使用したり、衝撃波の強さを調節することで低侵襲に治療できます。
装置名:ドルニエデルタⅡ
ドルニエデルタⅡはドイツ製の装置でディスクコイルと振動板によって衝撃波を発生させます。ディスクコイルに高電圧パルスが印加されると、磁界が発生しコイルのすぐ前面に置かれた振動板が瞬間的にたわみ、これによって衝撃波が発生し、音響レンズによって焦点に集束させ、結石を破砕します。
ウォータークッションを37℃に温める事により脱気を効率的に行え、人体の音響インピーダンスに近い為、皮膚との接触面(境界)で衝撃波の減衰が最小限に抑えられており効率的に治療出来ます。
X線透視を使いながら位置合わせを行い、破砕状況の観察、治療中の焦点微調整が行え、且つ衝撃波のパワーも低エネルギーから高エネルギーまで調節可能で、臨床に応じた衝撃波が選択でき、X線被爆の軽減、効率的な治療が可能な装置です。
骨密度測定装置
当院の骨密度測定装置は日立アロカメディカル(株)社製DCS-600EXVを使用しています。
ファンビームX線とラインセンサにより、測定時間が飛躍的に短縮しています。(標準走査時間15秒)
DXA法による測定方法で、骨粗しょう症をはじめとする代謝性骨疾患の診断や治療経過の観察などに広く用いられております。
DXA法:Dual Energy X-ray Absorptiometry(二重エネルギーX線吸収法)
2つの異なるエネルギーのX線ビームを使い、パルス高の解析によって、骨と軟部組織を区別して、骨塩量(単位:g)が測定されます。さらにX線を照射した方向からみた骨の投影面積(cm2)が計測され、この骨塩量を投影された骨の面積で除したものがDXA法の骨密度(g/cm2)です。
「骨粗しょう症」
骨粗しょう症は、鬆(す)が入ったように骨の中がスカスカの状態になり、骨がもろくなる病気です。骨がスカスカになると、わずかな衝撃でも骨折をしやすくなります。
骨粗しょう症は、がんや脳卒中、心筋梗塞のようにそれ自体が生命をおびやかす病気ではありませんが、骨粗しょう症による骨折から、要介護状態になる人は少なくありません。