肩の痛みは非常に多くの方が悩まれている症状で、整形外科では「腰」と「膝」に次いで3番目に多い症状です。 肩の痛みの原因の多くは、肩内部の筋肉(インナーマッスル)が骨に付着するところ「腱 (腱板)」の炎症と言われています。加齢やスポーツなどで慢性的に負担が繰り返され、筋肉の付け根である腱に微細な損傷が生じて炎症が起きます。炎症が起きて、痛みだけならまだ良いのですが、それがひどくなると腱(腱板)が切れてしまいます。いわゆる「肩腱板断裂」と呼ばれる状態です。
「腱板断裂」の形態は様々です 腱板完全断裂 関節内まで全層にわたって切れているものを完全断裂または全層断裂と呼びます。下図のように、そのサイズも大小様々です。 小断裂 中~大断裂 腱板不全断裂 一方、腱板の表(おもて)側や裏(うら)側だけが部分的に切れる「腱板不全断裂」もあります。 表層断裂 腱の表面がめくれた状態 深層断裂 関節の内面が裂けた状態
整形外科における手術の役割 肩腱板断裂治療のアルゴリズム 不全断裂 小断裂 中~大断裂 一次修復不能広汎性断裂 保存療法(リハビリ:運動療法/物理療法) 手術療法 関節鏡下腱板修復術 腱移行術、腱移植術、リバース型人工関節 腱板断裂の治療の基本は保存療法ですが、それが反応しない場合には、関節鏡下腱板修復術が適応されます。 修復前 修復後 関節鏡下腱板修復術は「肩に小さな穴を数か所開け、関節鏡で中をのぞきながら縫い合わせる方法」で、私の得意分野です。 不全断裂 小断裂 中~大断裂 一次修復不能広汎性断裂 保存療法(リハビリ:運動療法/物理療法) 手術療法 関節鏡下腱板修復術 腱移行術、腱移植術、リバース型人工関節 縫いきれないほどの大きな断裂には、腱の移植や人工関節が必要になります。 手術を望まない方へは、間葉系幹細胞を用いた再生医療の提供に取り組んでいます。