婦人科
ウロギネ外来
ウロギネコロジーとは「ウロロジー:urology 泌尿器科」「ギネコロジー:gynecology 産婦人科」の境界領域にある病気に関する診療科です。ウロギネ外来は女性特有の子宮脱、膀胱瘤、直腸瘤をはじめとする骨盤臓器脱疾患、尿失禁などの専門外来です。
おしもから下がってくる感じがして気持ちが悪い、ピンポン球のようなものが腟からでてきた、股間になにかはさまっている感じがする、排尿がしにくい、何回も排尿に行く、尿漏れや便もれがある、といったことでお困りの方はおひとりで悩まれずにぜひご相談ください。
骨盤臓器脱は骨盤の支持組織がゆるみ、生じてきている疾患ですが、4人に1人が罹患しておられます。
原因として妊娠や出産による骨盤底の損傷、肥満で骨盤内の臓器が支えきれない、更年期による女性ホルモンの低下、尿道やその周辺の組織が不安定になってしまう、また加齢による筋肉の弱まりなどが考えられます。
お困りの症状や原因はおひとりおひとり違いますので、その方に適した治療を提案させていただければと思います。
骨盤臓器脱や尿漏れは生命にかかわる疾患ではありませんが、私たちの生活の質を損ないます。骨盤臓器脱の加療をされた方からは楽になったというお声をいただいております。これからの生活のしやすさや元気さのために役立てることがあれば幸いです。
診察は産婦人科の女性医師が担当いたします。
泌尿器科精査が必要な方は当院泌尿器科に紹介させていただきます。
対象疾患
骨盤臓器脱
骨盤臓器脱(膀胱瘤 子宮脱 腟脱 小腸瘤 直腸瘤)
骨盤底の支持組織がゆるんで、骨盤内臓器(膀胱 子宮 小腸 直腸など)が腟から脱出してくる疾患をいいます。腟の壁から膀胱が下がってくる疾患を膀胱瘤、子宮が下がってくる疾患を子宮脱、小腸 直腸が下がってくる疾患を小腸瘤 直腸瘤といいます。また過去に子宮を摘出されている方は、腟が反転して下がってくることもあり、腟脱といいます。
骨盤臓器脱の種類
各種尿失禁
泌尿器科と連携のうえ、各種尿失禁の診断・治療を行います。
治療内容
保存的療法(骨盤底筋体操やペッサリー療法など)
骨盤臓器脱の症状が軽い方や手術を希望されない方には、外来で骨盤底筋体操の指導やペッサリー(腟内装具)をお勧めしております。
外科的治療
骨盤臓器脱の程度のひどい方や手術を希望される方には、骨盤臓器脱の種類や程度、ご年齢や合併症、体型などに応じて、ご相談の上、手術加療にあたらせていただきます。
メッシュを用いない手術 | 従来の腟式子宮全摘出術や腟壁形成術、腟閉鎖術 |
---|---|
メッシュを用いた手術 | TVM手術(経腟メッシュ手術) 腹腔鏡下仙骨腟固定術 ロボット支援下仙骨腟固定術 |
また骨盤臓器脱と尿失禁は関連があり、尿失禁手術加療が必要な方には、尿失禁手術も施行させていただきます。
- ① TVM手術(経腟メッシュ手術)
腟からメッシュを挿入し、骨盤の靭帯に固定し、下垂している膀胱をハンモックの様に支えて吊り上げます。手術の侵襲が低く、子宮の温存が可能であり、再発の少ない手術といわれています。
- ② 腹腔鏡下仙骨腟固定術(Laparoscopic Sacrocolpopexy:LSC)
腹腔鏡下に前後腟壁にメッシュを固定し、腟を引き上げて仙骨に固定します。腹腔鏡下手術となりますので、傷の痛みが少なく、出血やメッシュびらんも少ない手術です。腟が自然な状態に修復されますので性機能がたもたれます。比較的若年で性生活のある方にお勧めしております。
- ③ ロボット支援下仙骨腟固定術(Robot-assisted sacrocolpopexy:RSC)
仙骨腟固定術をロボット支援下で行います。腹腔鏡手術でのカメラではみえない、より繊細な操作が可能となります。
- ④ 腟式子宮全摘出術
子宮を経腟的に摘出し、下垂した膀胱や直腸の一部は縫縮し、腟壁を縫い縮める手術です。
感染に弱い合併症をお持ちで、メッシュを使用することのできない方にお勧めしております。 - ⑤ 腟閉鎖術
腟粘膜を薄く剥がし、前後で縫い合わせて腟を完全に閉鎖する手術です。高齢で性生活のない方にお勧めしております。
- ⑥ 腹圧性尿失禁に対するTVT・TOT手術
中部尿道をメッシュテープで固定する方法であり、尿道の下にメッシュテープを置くことで、尿失禁症状の軽快を認めます。
医師紹介
- 産科・婦人科 医長
- 日本産科婦人科学会・日本専門医機構 専門医
- 日本産科婦人科内視鏡学会 技術認定医
- 日本女性骨盤底学会 会員
主な経歴
- 2001年 関西医科大学附属病院 産婦人科
- 2012年 高の原中央病院 産婦人科
- 2022年 岐阜赤十字病院 女性泌尿器科